私は意見を言うために議会にいます。無所属なので、区民の方々とたくさん話して自分の考えを決めます。
はっきり右でも左でもないので、討論しました。
結果を見たら同じかもしれないけれど、その議論の過程が重要だと私は思います。
討論の原稿は↓
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ただいまから、陳情第211号 及び 213号、都立高校入試への英語スピーキングテスト導入に関する陳情について、
◉周知に関する項目:211号の2項目め、及び213号の1項目めについては委員会決定「不採択」に反対の立場から、
◉テストの実施見送りとプレテストの検証に関する項目:211号の1項目め、及び213号の2項目め、3項目めについては、委員会決定「不採択」に賛成の立場から討論を行ないます。
この陳情は、今年秋の都立高校入試からスピーキングテストが導入されることに対し、見送りやプレテストの検証、また周知の徹底を求めるものです。
初めに、周知については、私も区内の保護者10人に「Q.スピーキングテストが今年秋から導入されることを知っているか?」聞いたところ、9人が知りませんでした。特に知っていた一人は中学3年生の保護者で、中学生以外には全く知られていません。
スピーキングの能力向上には日頃からの積み重ねが重要であり、
小学生や幅広い世代の子どもとその保護者にも、さらに周知を徹底してほしいと言う陳情の趣旨に賛同するものです。
一方、スピーキングテストの見送りとプレテストの検証に関する項目については、さらに議論を深めたい部分があり、初めに継続を主張しましたが、継続は少数でした。あらためて賛否を示すことになり、不採択を主張させて頂きました。
今回導入されるスピーキングテストは、東京都教育委員会が進めてきた「グローバル人材の育成」の一貫で行われるものです。3つの柱として、実践的な英語力、国際感覚、自覚と誇りを掲げ、小中学校と都立高校での授業の充実や、TGG(Tokyo Grobal Gateway)や都独自のオンライン教材などの取り組みを行ってきた上に、今回のスピーキングテストがあります。
私はスピーキングテストの導入自体には賛成です。
英語で海外の友達と話すことは、楽しいものです。
ぜひ自分の子どもや板橋区の子どもたちには、広い世界を体験してほしいし、そのためには、これまでの「長年学校で習っても使えない英語」や「習い事をしなければ身につかない英語」ではなく、学校で実践的な英語を身につけられる環境を整えて頂きたいと考えます。
経済格差が社会課題になる中で、公立の中学校や高校でテスト導入と併せて授業が充実することは、むしろ私立との格差や、塾や習い事との格差をなくすと考えます。
よって、委員会決定「不採択」に賛成するものですが、2点、今後も区教育委員会や現場の学校で注視して頂きたい点について申し添えます。
一点めは、評価のあり方についてです。
陳情の中で、正確で公正な評価のあり方や、内申点の中でのバランスについて指摘がありましたが、仮にテストが始まっても数年は、評価に対する評価には様々な意見が出るかと思います。
改善点は生の学校現場からしか見えてきません。現場での生徒の実態と評価を注意深く検証し、必要な改善点は都教育委員会に積極的に伝えて頂きたいと考えます。
2点目は、コロナ禍の子どもたちが置かれた状況についてです。
東京都が「グローバル人材の育成」として行った事業の中に、TGG(Tokyo Grobal Gateway)があります。出来たばかりの頃、視察に伺いましたが、テーマパークのように、中に飛行機やカフェなどのセットがあり、そこでロールプレイを行うなど、体感しながら学べる施設です。
本来は学校単位でその施設を利用した校外学習なども行われる予定でしたが、コロナ禍で、板橋区内でも学校単位での利用は実施されていません。
また、板橋区では「英語村」の取り組みを進めてきましたが、こちらもコロナ禍、ストップした状態です。
今年中学3年生になる学年は、小学校の卒業ごろからコロナの影響を強く受けてきた世代で、「英語村」については希望した子が、小学生の頃参加したことがある、といった状況です。
委員会の中で実際に声を出してお互いにコミュニケーションを取る英語授業の実施状況も確認させて頂きましたが、中学に入ってからはマスクをずっと付けたままで、様々な活動を制限されてきました。
入試まで残された時間は短いですが、生徒が自信を持ってテストに望めるよう、声を出す授業の充実を改めてお願いするとともに、テスト実施にあたって課題が見えた際には、積極的に都にも声をあげて頂きたいと申し添えます。
以上で、私の討論を終わります。
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