板橋区長候補 南雲由子板橋区長候補 南雲由子

2016年10月28日

【本会議 H27年度決算に関する討論】
密度の濃い決算審査特別委員会もようやく終わり、
今日は、しめくくりの本会議!
南雲は会派(市民クラブ)を代表して、決算を認める「討論」を10分強させて頂きました。

ベテランの議員さんが話すことが多いこの決算の「討論」は、
内容もH27年度の区政全般に渡るため、大きな挑戦でしたが、
無事終わって一安心。。
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「区政は、板橋区に住む方の暮らしの集積であり、「生き物」です」
長いですが、H27年度に税金が正しく使われたか、
板橋区の財政は健全か、どこを改善すべきか、という内容です

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ただいまから、市民クラブを代表して、
平成27年度東京都板橋区一般会計および3つの特別会計の決算につきまして、いずれも認定の立場から討論を行います。
●平成27年度はどんな年だったか
平成27年度を振り返ると、一年を表す漢字は、安全の「安」でした。国会での安保法制定や、パリなど各国で起きたテロ事件、また鬼怒川が決壊した関東東北での豪雨など、日々の生活の安心安全について考える機会が多くありました。
経済状況においては、年度前半に中国などの景気減速などで、個人消費と民間設備投資に回復の遅れが見られたものの、緩やかな回復基調だったと言えます。
板橋区政においては、
平成25年度から進められてきた基本計画「いたばし未来創造プラン」の最終年度で、目標達成のための仕上げの年でした。また、4月に区長及び区議会議員の選挙が行われたとともに、区役所本庁舎が4月にグランドオープンし、区民へのサービス向上と、区の魅力発信に向けて新たなスタートを切った年でもあります。
●財政指標から板橋区の財政をみる
まずは、4つの財政指標から、
平成27年度の板橋区の財政が、健全であったか、弾力性があったか分析します。
はじめに、実質収支比率です。
実質収支比率は、歳入と歳出の均衡を示す値で、一般的に3〜5%の範囲内が望ましいとされます。平成27年度は3.3%で、前年度と比べて0.7ポイント低下していますが、適正範囲内でした。
次に、経常収支比率です。
経常収支比率は、新たな行政需要に対応できるか、財政の弾力性を示す値で、この値が低いほど弾力性があり、80%を超えると、硬直化の傾向にあると言えます。平成27年度は83.2%で、前年比で1.7ポイント低下していますが、まだ80%を超えています。人件費や扶助費など義務的経費を抑えるなど、今後も努力が必要です。
次に、公債費負担比率です。
公債費負担比率は、一般会計のうち、
過去の地方債の返済や利子にかかる「公債費」が占める割合で、「いたばしNo.1実現プラン2018」の中では、これが4%前後になるよう努めるとしていますが、平成27年度は5.2%でした。また、今後は「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画を実行し、計画的に発行するとしていますが、次世代にツケを残さないよう、健全な財政運営を求めます。
最後に、人件費比率です。
削減することが難しい人件費の増加は、財政硬直化の原因となります。前年度と比べると、0.5ポイント低下していますが、今後100人前後の定年退職者が続くことも予定されており、適切な職員数を保ちながら人件費の抑制に努めることが必要です。
以上、財政指標から見ると、おおむね適正ですが、今後も収支の均衡や、弾力性については留意する必要があります。
●「区長のイチオシ事業」から板橋区の財政をみる
続いて、主要施策から見ていきます。
平成27年度は「いたばし未来創造プラン」の最終年度でしたが、「いたばしNo.1実現プラン2015」に掲げた、「元気なまちづくりNo.1」「安心安全No.1」「あたたかい人づくりNo.1」に沿って分析します。
はじめに、「元気なまちづくりNo.1」では、
2015国際光年に合わせた「光学の板橋」のブランドを高めるシンポジウムが、またイタリア・ボローニャとの友好都市交流協定10周年の記念事業や産業交流が行なわれました。
それぞれ節目となる年に、板橋区の魅力を深める事業を行ったことは評価できますが、一過性のイベントで終わらせることなく、今後も区民が参加する草の根の産業振興や文化振興につなげていくことを求めます。
次に「安心安全No.1」では、
空き家対策で、「老朽建築物等対策計画2025」が策定されました。
板橋区独自の特色として、住民が住んでいる場合でも周囲に危険が及ぶ建築物については、区が指導や撤去できると定めています。今後、危険な建築物等の撤去と併せて、空き家の活用を考える人とのマッチングや利活用までを、車の両輪のように検討し、対策を進めて頂けるよう求めます。
また、大山駅周辺やJR板橋駅前用地、上板橋駅前および東武東上線立体化に向けたまちづくりの計画を進めた年でもありました。
高島平では、今後30年間のまちづくり基本計画「高島平グランドデザイン」が策定され、いよいよ今年11月に、民×学×公がフラットに話し合う「高島平デザインセンター」がオープンします。
どのまちづくりにおいても、住民が幅広く参加し、意見を聞くことができるよう、途中の過程からわかりやすく情報発信をしながら、まちづくりを進めて頂くことを求めます。
最後に「あたたかい人づくりNo.1」です。
平成27年4月に施行された「生活困窮者自立支援法」に基づいて、「いたばし仕事サポートセンター」がスタートしました。
生活保護にいたる前の、生活困窮状態にある方へ、ワンストップで、生活が苦しくなった個別の原因を一緒に分析し支援を行なうもので、扶助費の中でも増える生活保護費を軽減するためにも、高く評価します。
また教育の面では、
全小学校への電子黒板導入など学校のICT環境整備や、全校での「あいキッズ」導入などが進められました。
スタートを切ったものの、電子黒板については、全ての教員が使いこなせているわけではなく、有効に使う研修やサポートが今後も必要です。
「あいキッズ」は、利用する子どもの割合がまだ少なく、各委託事業者をサポートしながら利用率をあげることが課題です。
「区長のイチオシ事業」のひとつとして掲げた、待機児童対策については、平成28年4月の待機児童数が376名と、待機児童ゼロを達成することはできませんでした。
また、「いたばし魅力ある学校づくりプラン」で小規模校の統廃合も検討されていますが、「人口減少社会」と言われる中でも今現在は板橋区の子どもは増えています。
区政は、板橋区に住む方の暮らしの集積であり、生き物です。
先の未来を見据えて進めることは必要ですが、計画ありきではなく、実態が変わったなら政策転換をするあるいは見直しをする勇気も持つ必要があると考えます。
特に子育て、教育については、子どもたちによりよい教育環境が届くことを最優先に、現状に即して、慎重に慎重を期して進めて頂けるよう、
強く要望します。
またマイナンバーカードも平成28年1月から公布され、コンビニでの各種書類の発行もスタートしています。しかし、9月末現在マイナンバーカードの公布率は区民全体の7.1%に留まっています。システムトラブルなどへの対応もあった中ですが、今後もDV被害者への対応や、なりすまし対策などリスクマネージメントを充分に行ないながら、利用者増加に向けて取り組むことを求めます。
●3つの特別会計について
次に、3つの特別会計についてです。
国民健康保険事業特別会計は、
収入未済額及び不能欠損額の増加が課題で、督促の強化による現年徴収額の向上と滞納者からの収納の確保など、さらなる努力を求めます。
介護保険事業特別会計は、
平成28年度からの制度の改定に向けて準備が進められました。国民健康保険事業特別会計と同様、収入未済と不能欠損の減少に取り組みながら、あわせて制度の切り替え時に不便を感じる方がいないよう、丁寧な説明と情報の周知を求めます。
後期高齢者医療事業特別会計でも、収入未済、不能欠損が問題となっています。
これら特別会計における収入未済、不能欠損は、負担の公平・公正さと持続可能な保険、医療の制度そのものに影響を与えるものです。
それぞれの経済状況の中で支払いが難しい事情もあるかと思いますが、分納などの案内も丁寧に行ないつつ、安定した制度の運営を要望します。
●さいごに
以上、平成27年度決算について、各分野における所見と要望を述べましたが、平成28年度からは、新たな基本計画「板橋区基本計画2025」がスタートしています。
平成27年度末時点での、区の財政調整基金は190億円を上回っています。
「板橋区基本計画2025」に掲げられている、生産年齢人口の増加や高齢化社会への対応などに、どのような具体的な施策を持って行なっていくのか。
必要な福祉や重要な施策にはきちんと財源を充てながら、実現して頂きたいと思います。
平成27年度一般会計および各特別会計には、
いずれも認定することに賛意を表しまして、討論を終わります。