板橋区長候補 南雲由子板橋区長候補 南雲由子

2020年09月24日

【本会議の一般質問で区長に提案しました】
今日は本会議で一般質問させて頂きました。
実は昨日は何年ぶりか喘息の発作が出て本会議を欠席しました。区民の方には大変申し訳ありません。温めていた内容なので今日登壇でき、身のある答弁や他会派の方からご意見も頂けたことに心から感謝します。
1.ウィズコロナ・アフターコロナでも未来へ続く板橋をつくる
(1)板橋区の戦略について(板橋区の魅力、文化、福祉のビジョン)
(2) デジタル変革DXについて
(3) 子育てについて
2.GIGAスクールについて
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質問は長いですが以下↓
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1.ウィズコロナ・アフターコロナでも未来へ続く板橋をつくる
 通告に従いまして、市民クラブの一般質問をさせていただきます。
 はじめに、ウィズコロナ・アフターコロナでも未来へ続く板橋をつくる、と題して、生活様式や働き方など、区民生活が大きく変わる中で、今後の板橋区がどのような方向性で進んでいくか、その芯となる、区長のビジョンを改めて指し示すべきと考え、質問します。
 一つ目に、板橋区の戦略についてです。
(1)板橋区の戦略について
◎板橋区の魅力はどこにあるか
 コロナ禍で大きく変化したことの一つが、働き方です。
 長年板橋区は、都心に近く通勤が便利な23区内にありながら、自然は豊かで住みやすいベッドタウンとして発展してきました。しかし今、テレワークの広がりとともに「通勤」の概念は大きく変わり、住む場所の意味も変わってきています。
 不動産・住宅情報サイトを運営するLIFULLが、9月8日に発表した「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」では、「住みたいまち」が、郊外に移る傾向が見られます。1位は小田急小田原線の「本厚木」で、これまで都心近郊の人気エリアだった「三軒茶屋」「荻窪」「北千住」などが大幅に後退。一方で、「八王子」「津田沼」「立川」「八潮」「平塚」などの郊外エリアが上位に入る結果となっています。
 また8月28日の東京新聞では、アルバイト求人サイト運営会社の調査で、首都圏でアルバイトや契約社員で働く人の6割が、地方移住に興味がある、と答えたと報じられています。
 実際に私の身近でも、オンラインでの仕事が可能な職種の方を中心に、コロナ禍で都内から海の見える地域に住み替えた友人や、地方と都内の二拠点生活を本格化した友人もいます。
 区長はこれまでも「東京で一番住みたくなるまち」を掲げて区政を進めて来られましたが、23区に住む意味が変わりつつある今、板橋区の価値がどこにあるのかを一度本質的に見直し、改めて示す必要があるのではないでしょうか?
 また近年、人口が少ない地方自治体で、だからこそ身軽に、先進的なイノベーションを遂げている事例も多く見受けられます。
 板橋区は人口57万人、区職員数約3600人と規模が大きい分、変化しにくいともいえ、23区の中で22番目に手を挙げるという姿勢では、日本の中で一番、まちとしての競争力を失い、変化の中で取り残されるのでは、という強い危機感を私は感じています。
そこで伺います。
Q.「いたばしNo.1プラン2025」の中で、板橋区の魅力をどこに置いて計画を立てているか、改めて区長の方針をお聞かせください。
◎見方・考え方としての「文化」
 私自身は、これまでも総括質問等で申し上げてきましたが、板橋区は、仕事も生活も丁寧に暮らすライフスタイルを求める人にとって大きな魅力があると考えています。
 近年特に若者の間では、住まいや車を共同で使う「シェアハウス」や「シェアカー」、自然の多い田舎で仕事をする「ワーケーション」などが広まり、バブル以前の、周りと競争して出来るだけ良いモノを所有しようとした時代とは違うニーズや価値観が見られます。
 また日頃区内でいろいろな方と話す中で、私は、板橋区が仕事も生活も丁寧に暮らすまちとして選ばれ、住み続けたくなる鍵になるのは、文化だと考えます。
 私がここで言う文化とは、単に表層的に美しい、見ることで心が潤うという部分ではなく、社会に本質や多様性を投げかける存在としての文化やアートについてです。
 近年、大企業や、特に新たな時代に合わせた変革を求められるビジネス分野では、アートの価値が注目され、ビジネス向けに「アート思考」の可能性を解く書籍やセミナーなども多く開催されています。
 フランス人アーティストのクリスチャン・ボルタンスキーは「アートは答えではなく、問いである」と言います。今、ビジネスの分野でアートの価値が見直されているのは、従来の、見たり聴いたりして美しいという側面よりも、物事の本質を問い直す見方、考え方としての部分です。
 AIなどが台頭し、人間にしか出来ない仕事が問われる時代に、多様性やクリエイティビティは、経済面でも重要と言えます。
 アメリカの経済学者・リチャード・フロリダは、著書『クリエイティブ資本論』で、ゼロをイチにする職業の人が多い地域では、経済的な伸び率が高いという研究結果を示し、「クリエイティビティは、究極の経済資源である」と述べています。また地図を重ねると同時にその地域は、移民やLGBTQなど多様性を受け入れる傾向が強いそうです。
 板橋区では、区内に住むアーティストに登録してもらう「いたばしアーティストバンク」がスタートしました。コロナ禍での文化支援として映像作品に10万円を支援する事業でも活用されたことも、非常によい取り組みだと感じます。
 板橋区では、区内での目に見える発表や公演などの活動だけでなく、ここに住むアーティストやミュージシャンも多くいることに着目すべきです。「いたばしアーティストバンク」によって、社会的資源とも言える、文化に関わる区民が見える化することは、大変意義深く、今後を楽しみにしています。
そこで伺います。
Q.板橋区政の中で、文化をどう捉えて、振興していくのか、区長の見解を伺います。
◎板橋区の「未来の福祉」とは?
 もう一点、福祉のあり方について質問させて頂きます。
 行政の担うべき最も重要な使命の一つは、福祉です。
区民の方とお話をする中で、板橋区は特に障害者福祉が充実しているため、移り住む人も多い、と伺いますが、福祉の分野についても、今後の区長のビジョンを伺います。
 話題の分野は変わりますが、先日、ひとり親支援を民間で行う一般社団法人「日本シングルマザー協会」代表の方のお話を伺いました。そのお話の中で印象的だったのが「未来の福祉」という言葉です。
 これまでのひとり親への行政の支援は、児童扶養手当や児童育成手当など福祉事務所などから、お金を助成するというものでした。しかし、子どもが独立してその親が40、50代になった時に自立して生活できるのか。同協会は、ひとり親が世帯主として生活できるレベルまで収入をあげる具体的な就労支援を主な活動として行っています。すでに千葉市や相模原市などでは、同協会と行政が協定を結んで対処療法ではなく、ひとり親の本質的な自立を支援するため、連携を始めています。
 財政的にも大きな割合を占める福祉の分野で、どこを行政が担い、どこを民間のより専門的な支援と連携するのか。
 財政コストを下げるだけのための民営化ならすべきではありません。その役割についてのビジョンを区政として持った上で、持続可能な「未来の福祉」が求められるのではないでしょうか。
そこで
Q.今後の福祉施策のビジョンを、区長に伺います。
(2)デジタル変革について
 続けて、デジタル変革について伺います。
 コロナ禍では、臨時福祉給付金や持続化給付金などオンライン申請が行われ、デジタルトランスフォーメーション、DXと呼ばれる、デジタル変革は、今後行政に区民から強く求められる分野ですが、板橋区の現状は、民間に比べ大きく遅れています。
 この夏は現地に伺っての様々な視察も難しい状況でしたが、デジタル変革で先進的な取り組みを行っている福島県磐梯町では、オンラインで視察の受け入れをしていると伺い、先日板橋区議会から超党派でオンライン視察をさせて頂きました。磐梯町にとっても視察の受け入れは映えある第一号とのことでしたが、大変勉強になりました。
 そこで特に次の2点について提案し、今後の方針を伺います。
 1点目は、職員全員の意識改革と環境整備
 2点目は、全体の業務改善と合わせて進めることです。
 まず1点目は、職員全員の意識改革と環境整備です。
 板橋区の業務では、連絡や申込が未だにFAXで行われている部分があります。しかし職員の多くは、プライベートではスマートフォンを持ち、LINEやSNSなどを使っていて、3600人の職員がいれば、例えばその中にyoutuberもいるかもしれません。職員個人はデジタル技術を使えるのに、業務では使えない環境やルールの壁を取り除く必要があります。
 またデジタル変革とは、IT推進課だけが考えればよい問題ではなく、職員全員が意識を変える、区役所全体のイノベーションであるという視点で進める必要があるではないでしょうか?
 磐梯町のお話を聞いてまず印象的だったのは、デジタル変革DXの目的は住民本位の行政を行うことで、その手段としてデジタル技術を活用するものだ、という言葉です。
 職員の間でも難しいカタカナ語を使うのではなく、会津藩の規範になぞらえた磐梯町DX戦略の「什の掟」として、「一、誰一人取り残してはなりませぬ」「一、できない理由を並べてはなりませぬ」などDXの心構えを共有しています。
 また磐梯町でデジタル変革が大きく前進したターニングポイントは、今年、最高デジタル責任者CDOを副町長直轄の役職として、町外から起用した点にあります。同時にデジタル変革戦略室を部署として位置づけ、会議は福島と横浜や東京をオンラインで繋いで進めたそうです。
 専門的な知見を得ることに加えて、組織内にイノベーションを起こすには「ヨソモノ」の存在が有効ではないでしょうか?
そこで伺います。
Q.デジタル変革DXを進めるために、アドバイザーとして専門家を、民間から登用すべきと考えますが、見解を伺います。
 2点目は、全体の業務改善と合わせて進め、ICT化すべきものとそうでないものを仕分けることです。
 全てをデジタル変革、ICT化することが正解とは私は思いません。
 例えば、長寿社会推進課において、利用する区民に向けた業務は、高齢者にとって使いやすい従来の電話やFAX、窓口などを充実させるべきですが、福祉施設の職員の事務作業などデジタル化することによって効率化し負担が軽減する分野があれば取り組むべきです。
 民間企業において、企業の目標を達成するために、企業活動や組織構造、業務を根本的に再構築することをビジネスプロセス・リエンジニアリング、BPRと言います。
磐梯町でも最初に、民間企業との包括連携協定でBPRによる業務把握を行い、業務の整理、見直しを行ったそうです。
 板橋区でも、まず区の全ての業務を可視化し、どれをデジタル化すべきか、どれは既存のやり方でよいか、仕分けをすべきではないでしょうか?
 BPRを行い、区役所全体をデジタル変革することは、今後の区政を時代に合ったものにする、畑の土を耕すような部分です。
そこで伺います。
Q.デジタル変革を進める上で、区全体の業務改善と合わせてまず業務の可視化を行い、デジタル化するものかどうか優先順位をつける仕分け作業をすべきと考えます。現状と今後の取り組みを伺います。
(3)子育てについて
 続けて、子育てについて、保育とあいキッズのビジョンについて伺います。
 板橋区は待機児童ゼロへ取り組みを進め、今年4月の実質待機児童数は80名となっています。今後も希望の園に入れていない子どもや保護者とのマッチングは課題ですが、待機児童は概ね改善傾向にあります。
 働き方が多様になる中、待機児童ゼロの次の段階として、これまでのゼロか100か、フルタイムで働いて保育園に預けるか、もしくは自宅で母親が育児をするか、以外の選択肢や、保育の質など、板橋区はどんな子育てを提案できるでしょうか。
 特にコロナ禍では、既存の子育て支援ではうまくあてはまらないケースのご相談を私もSNSやzoomで何件も伺いました。
 例えば、フリーランスでデザイナーをしているが、コロナ感染防止のため幼稚園を休ませるか迷っているというご相談。また、父親が育休を取得したが、男性には「母親に寄り添ってサポートを」というメッセージ以外の子育て情報がなく、育児で不安を感じるというご意見。
 家庭によって状況や悩みは様々で、条件は親の就労だけでなく、多様な子育てを家族以外で支えるしくみの必要性を感じます。
そこで伺います。
Q. 待機児童解消のその先に、板橋区が目指す保育のビジョンについて、区長の所見を伺います。
 続けて同様に、子育てが多様化する中での、全児童型放課後事業・あいキッズのあり方について伺います。
 文教児童委員会でも議論していますが、子どもたちからはルールが厳しい、狭いなどの声や、保護者からも様々な要望が聞かれ、特にコロナ禍では現場の職員の処遇改善の必要性も明らかになっています。
 一方、あいキッズの事業費は、年間20億円以上、そのうち国や都からの財源は6億、全体の30%程度です。利用者からの保育料で賄われるのは全体の7%で、区の財政支出は年間12億円超に上ります。
 これまでの成果と課題を検証しつつ、あり方を見直すべきです。
そこで伺います。
Q.H27年度から全校で実施してきて、あいキッズ事業で達成できたと思うこと、また課題として見えてきたことなど、教育長のこれまでのあいキッズ事業への評価を伺います。
 そして、今後あいキッズのあり方を考える前提として、放課後の子どもの遊び場や居場所をどう考え、地域でどう支えていくのか。特に、子どもの目線であいキッズはどんな場所なのか。
この項の最後に、
Q.子どもの目線で見て、あいキッズを今後どのような場所にしていくか、教育長の方針を伺います。
 ウィズコロナ・アフターコロナでも未来へ続く板橋をつくる、と題して大きな戦略とビジョンについて伺ってきましたが、以上で、この項の質問を終わります。
2.GIGAスクールについて
 次に、GIGAスクールについて伺います。
 国や都の動きを受け、板橋区でも来年春までに全小中学生に一人一台タブレットが配布されます。
 今の子どもたちは、オンラインと対面の間を行ったり来たりしながら、仕事や人間関係を生き抜いていかなければなりません。今、公教育の中で「文房具」としてタブレットを使った教育が始まることは、大きな転機であり、財政的にも厳しい中で、板橋区でもGIGAスクール整備を決めたことは高く評価しています。
 まずはタブレットが子どもたちの手に、使える形で届くよう導入前の課題をクリアする必要があります。
 6月の文教児童委員会で、私は導入前の課題として以下の2点を指摘しました。
 1点目は、クラウド環境の整備と自宅学習の可能性について、
 2点目は、GIGAスクールを進めるための人員体制についてです。
 まず1つ目の、クラウド環境の導入と自宅学習の可能性については、議論の中で、今のままでは、登録費用や区の個人情報保護の方針のため、本当はタブレット端末とセットで使えるようにすべき、クラウド環境が使えない、という課題が明らかになりました。
 教育におけるクラウド環境とは、G suite for educationやClassroomというインターネット上で資料を配布したり提出物を出したりする仕組みのことで、タブレットを導入してもクラウドが使えなければ文科省の方針ともずれて、板橋区の子どもたちが取り残されてしまうため、必ず解決すべき課題です。
 もう1点は、導入を進めるための区の人員体制です。
 短期間で36480台のタブレットを配備しなければならない急な大仕事に、担当する職員を追加で付けるべきという点を、2年半前から導入した渋谷区の体制と比較して指摘してきました。
そこで伺います。
Q.クラウド環境の利用に向けて、進捗状況をお聞かせください。
Q.また、教育支援センターの人員配置の増員について、現在の状況を伺います。
 そうした課題をクリアした上で、導入後、子どもたちや先生が使いこなすために、以下2点、家庭学習について、また教員への研修について質問します。
 保護者の関心が特に高いのは、自宅でタブレットを使えるのか、どのように使ったらよいか、という点です。
 また今後も新型コロナの影響が見えない中、自宅でのオンライン学習が可能か。そして不登校や、様々な病気や障がいを持つ子どもたちへのオンライン学習の可能性も期待されます。
そこで伺います。
Q.板橋区における自宅でのタブレットの活用について、教育委員会の方針を伺います。
Q.また教員が授業で活用するための研修等に教育委員会としてどう取り組むか、教育委員会の方針を伺います。
 先日区内の教員に向けた勉強会「板橋アカデミー」でGIGAスクールに関する回をオンラインで拝聴しました。
 その冒頭、教育長から、デジタルトランスフォーメーションDXについてお話があったり、google社の担当者から「使わない」という選択も含めた授業での活用についてお話があり、GIGAスクールの手段だけでなく目的を伝える充実した内容でした。
 「板橋アカデミー」を聞いて、このタブレット導入が本質的に板橋区の教育を変える転機であることを強く感じました。
導入後も区の教育の中で、社会状況やデジタル技術の変化を捉えながら、ICT教育の可能性を模索するためには、思い切った組織改変も必要ではないでしょうか?
 日野市では、H18年に教育委員会事務局内に「ICT活用教育推進室」を設けました。室長1名と、ICTの専門知識を持った者1名、メディアコーディネーター4名を配置し、それぞれ学校に出向いて直接支援をする部署で、文科省や総務省とのプロジェクトや産学官の連携などを行ってきました。
 今後のICT教育のさらなる展開に備えて、組織改編を行う自治体、教育委員会はほかにも見られます。
 広島県では、R2年3月に「学校教育情報化推進課」を設置し、ICT環境整備と指導力向上に関する事務を集約し、ハードとソフト両面から学校教育のICT化を進めるとしています。
 また、福岡県久留米市でも、学習用コンピューターの導入事務と、教育センターの学校情報化の総括事務などを集約し「教育ICT推進課」をR2年4月に新設しました。
そこで伺います。
Q.日野市等の実践にあるように、ICT教育を推進するためには、抜本的な組織体制が必要と考えます。教育長の見解を伺います。
 この項の最後に、直接会う教育の場について伺います。
 この夏、私は大学生の男女1名ずつと高校生1名、合計3名のインターンの受け入れをしました。
 大学生1年生の彼らになぜインターンをしたいか志望理由を聞くと、大学が始まってから半年、授業は全てオンラインで受けているが様々な経験をしたい、大学に入ってからの友人は一人もいない、と聞き私は愕然としました。
 インターン活動を通して2ヶ月彼らと過ごしてみると、彼らは雑談が下手です。グループワークで仕事をする際に、苦手な人や相手との考えの違いをなんとなく適当にやり過ごすのが苦手です。目に見えない、うまく言葉にできない影響が、大学に行っていない大学生に出ているのを感じます。
 私は、板橋区でオンラインでの教育環境を整備すべきと考えますが、同時に、オンラインでは伝わらない、学校で、人と人が会ってできることの意味も大切にする必要があると感じます。
そこで伺います。
Q.教育の一つの手段としてオンライン化を進めながら、対面での教育やコミュニケーションの意義をどう捉えているか。教育省の方針を伺います。
以上で私の一般質問を終わります。